理法魚(りほぎょ)男子の役立つブログ🌟

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あなたでも発明はできる。発明と特許をちょー簡単に説明します(4):「発明の本質を捉えて、特許の権利範囲を考えよう」

漁村生まれの理系法律系男子です。略して理法漁(りほぎょ)男子として活動しています。現在は、化学と知的財産権法(主に特許法)を専門とするグローバルな仕事をしています。

 

さて、記事「あなたでも発明はできる。発明と特許をちょー簡単に説明します」シリーズの第3回では、「問題を解決して発明を生み出そう」という小題で、理法漁男子と、友達のまみとの会話形式で解説しました。

具体的には、世の中に、円柱状の鉛筆(断面が丸い鉛筆)しかないと仮定した場合に、断面が丸い(円形)の鉛筆に存在する問題点を2つ見出し、その問題点を解決して、断面が正三角形、正方形、又は正六角形の新たな鉛筆を生み出しました。

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 第4回からは、その発明を用いて、どのように特許にしていくかを、理法漁男子と友達のまみとの会話形式で解説します。

第4回の小題は、「発明の本質を捉えて、特許の権利範囲を考えよう」です。

前に理法漁男子と話をして、断面が正三角形、正方形、正六角形の鉛筆を発明したよね。どうやって特許にしていくか教えて??

おっけー。特許を取るには、願書、特許請求の範囲、明細書、要約書、必要に応じて図面を作成して特許出願をする必要があるんだ。願書は発明者の名前等の書誌的事項を記載するもの、要約書はその名の通り発明を要約したもの、図面は発明を説明する時に必要ならば作成するものなんだ。

なんか、特許出願って難しそうに思ってたけど、その3つは聞いただけで意味がわかったわ。

その3つは、すぐにイメージがつくんだ。最も重要なのが、特許請求の範囲と明細書なんだよ。特許請求の範囲は、特許を取得したい発明を記載して、請求する権利範囲を規定するものなんだ。特許になった後に、どこからどこまでが、まみの特許権の権利範囲かわからなくなったら後から揉めることになるだろ??だから、請求する権利範囲を明確にしなくてはならない。そして、特許請求の範囲に記載した発明の詳細を説明するのが明細書なんだ。何となく、どんな書類かはわかったかな??

何となく、特許出願する際の書類のイメージはついたわ。

じゃあ、まみが考えた発明を例に、特許請求の範囲に記載する発明を考えよう。まず、まみの発明の範囲を決めよう。わかるかな??例えば、地図が発明の範囲だとすると、大阪だけにするか、大阪、兵庫、滋賀等を含む関西にするかを決めるんだ。

ちょっとまって。私が生み出した発明は、断面が円形の鉛筆の課題(問題点)を見つけて、その課題を解決した断面が正三角形、正方形又は正六角形の鉛筆よ。だから、特許請求の範囲に記載する発明は、正三角形、正方形又は正六角形を有する鉛筆で決まりじゃないの??

良い質問だね。確かにまみが生み出したのはその3つの鉛筆だ。でも、それが特許になったとしよう。そしたら、まみの権利範囲はその3つの鉛筆だけになるよ。じゃあ、僕が、まみの特許をみて、角がある鉛筆は転がらないから便利だと思い、五角形の鉛筆を販売したらどうなる??まみの特許権の範囲外だから、まみは何もできないよ。

ほんとだ。じゃあ、どうするの??

まみが開発した3つの鉛筆を含む上位概念で発明を表現したらいい。例えば、断面が多角形の鉛筆が権利範囲だったらどう??多角形なら、五角形だろと、七角形だろう、九角形だろうと権利範囲に入るから、僕が五角形の鉛筆を販売できなくなるよ。

なるほど。自分が開発した鉛筆だけを規定すると、真似されて侵害を逃れられるおそれがあるから、上位概念で表現すればいいのね。

その通り。課題を頭に入れて上位概念を考えることが重要なんだ。そしたら、本当に特許にすべき発明が見えてくる。特許にするには1つの課題があればいいんだけど、断面が丸い鉛筆の主な課題は転がりやすいことだろ。これってどうやったら解決できた??第3回でまみが行った分析で、転がりやすいことの原因は角がないことだったよな。じゃあ、この課題に対する判断(改善案)は角があることだろ??

そうだったね。ということは・・・。断面に少なくとも1つの角を含む鉛筆って規定すればいいってことかな??

センスいいね。確かにそれは多角形よりも上位概念になると思う。断面のほとんどが丸いけど角がある下のような断面を有する鉛筆は、多角形とは言えないけど、角を含んでるから権利範囲に入るもんな。さすがだな。

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私、何かわかった気がする。理法漁男子が、第1回で、技術自体は目に見えない無形財産って言ってたじゃない?でも、薬は有形じゃんって思ったのよ。でも、第2回で言ってたように、発明とは新しく生み出した思想(考え)であって、目に見えない無形財産という意味が、鉛筆の例をみてようやくわかったわ。

そう言ってもらえて嬉しいよ。まみが規定した「断面に少なくとも1つの角を含む鉛筆」は、センス抜群の規定の仕方だと思う。でも僕だったら、「転がり防止手段を備えた筆記具」と規定するな。まみの規定だと、例えば、断面が楕円形の鉛筆は入らないし、大きい円とごく小さい円を組み合わせたような断面をもつ鉛筆も入らないだろ?

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ほんとだ。断面が楕円形でも、転がりやすいという課題を解決できているもんね。円形にさらに小さい円形を加えた断面をもつ鉛筆もその課題を解決できてる。すごい。

転がり防止手段というのは、まみがいうように、角を設けたり、楕円形にしたりという詳しい形態を明細書で記載するんだよ。

そこで明細書を使うんだね。しかも、筆記具ってしたから鉛筆以外のものも入るのか。シャーペンでもいいってことね。

その通りだよ。こうやって、特許請求の範囲に規定する発明を考えていくんだ。第5回でさらに詳細に説明するな。

うん。楽しみにしてる。